防災ヘリ「はるな」慰霊碑の設置施工を行いました
吾妻広域消防本部職員6名の尊い命が失われた、平成30年8月10日の群馬県防災ヘリコプター「はるな」の墜落事故。
折しもぐんま県境稜線トレイル全線開通に伴う登山道の視察・調査のための飛行中の出来事でした。
かけがえのない命を守るという崇高な任務を果たすべく殉職された6人の功績を末永く後世に伝えるとともにしっかりと胸に刻み込み、このような惨禍を繰り返さないことを誓うため吾妻広域消防本部に慰霊碑が設置されました。サンポウでは設計と施工を担当させていただきました。
今回の設計内容と各メディアで取り上げられた内容をご紹介いたします。
-基本コンセプト
この魂と志を永遠に
「地域でもっとも必要とされる、防災に携わる消防職員6名の殉職した追悼慰霊碑の建設にあたり、追悼と鎮魂、更に事故の記憶を伝承していく事を最大の目的とし、この建設にあたりました。テーマを『この魂と志を永遠に』として本設計に取り組みました。
殉職した6名の尊い命、この職を選択した強い志と誇り、人の為に自らの命を懸けて任務にあたってきた6名を忘れてはならない、この慰霊碑を訪れた人々に殉職者6名の記憶と共に防災を考える唯一の空間としたい想いが込められています。
又、現職の方や、今後防災の職に就く方がこの慰霊碑に手を合わせる時、6名の高い志と想いに何かを感じ、記憶と共に自らを見つめる空間としたい。慰霊と伝承を持つ空間と考えました。」
–慰霊碑の構造、材質
「慰霊碑の材質は全て御影石(花崗岩)で統一しました。
花崗岩は地下のマグマが地殻内で地下深部にて冷却固結した結晶質の石材で、硬く、美しく、耐久性に富む石材として建築物の外部を中心として最も多く用いられています。
主成分は、長石・石英・雲母から成り、化学成分上は珪酸を65~70%以上含む鉱物です。
以上の事から、自然素材でもっとも耐久性もある御影石を使用しました。
尚、御影石の呼ばれですが、御影石は、兵庫県神戸市の御影町にて産出された 花崗岩を御影石と称し、建築石材では花崗岩全般を御影石と呼んでいます。」
名称 | 産地 | 比重 | 吸水率 | 圧縮強度 |
白御影石 | 中国産 | 2.645t/㎥ | 0.186% | 104.17N/m㎡ |
黒御影石 | インド産 | 3.016t/㎥ | 0.028% | 121.09N/m㎡ |
赤御影石 | インド産 | 2.61 t/㎥ | 0.08% | 182.18N/m㎡ |
-デザインについて
「殉職者6名の御霊が天高く昇っていく様を円形で中心に配し、左右の柱は、6名が人々に対してご尽力された事で人文字と、御霊への想いで合掌の手の合わせをイメージし、外周の丸柱で自然の山や森と木々をイメージしあえて磨きではなく小叩き仕上げで安らかな自然空間を考えました。
床敷石は滑らないように御影石をバーナー仕上げとし、車椅子でも入れるように段差を無くし、雑草も生えない全面石貼りで、休息のできるベンチを設け、語れて安らげるスペースを作りました。」